ヨーロッパの鉄道は芸術
ヨーロッパの鉄道は芸術である。
人々にそれを自覚させないほど生活に密着しきった芸術に違いない。
産業革命が導いた科学技術は、伝統文化のエスプリに二〇〇年間培われ、いきいきとした人間模様をかもし出す文化芸術へと成長を遂げた。
近代化を推進するあまり、スピードと合理化に偏り、欧米の表層のみを追い求めてきた日本からすれば、思い浮かびようのないシステムや景観が随所に残されている。
そこでは、およそ合理的ではなく不便な面ばかりがよく目立つ。
それがとても喜ばしいことなのだ。
便利ではないことが、生きる人々の協調と交流の場を自然に導く。
心豊かな生活と相互に対応する鉄道だからこそ人々に長年親しまれてきた。
海外に出かける機会の多い今日とはいえ、鉄道には縁のない旅も往々にしである。
ぜひともヨーロッパでは鉄道を体験してみていただきたい。